毎週木曜日は山を降りて市内に向かいます。
徳島県で市内と言えば徳島市。
他にも小松島市や阿南市など市は色々とあるが、市内とは言いません。
上勝から市内までは車でおよそ1時間。
そこそこの距離だけど、慣れればなんてことはなし。
第1の目的は週末に営業するバーの買い出し。
第2の目的は……サックスのレッスン。
実は2年ほど前から、ヤマハ大人の音楽教室に通っています。
昔から音楽を聴くのは好きでしたが、演奏するのは絶対に無理だと思っていました。
それが、12年前に上勝町に出会い、そこで知り合った友達の多くが音楽をやっていたものだから、自分も何か楽器ができないと遊んでもらえないと思ったわけです。
最初は独学でウクレレを始めました。
ギターと違って弦は4本だし、楽器も小さくておもちゃみたい。
これくらいならできるだろうと思って始めたのですが、とんでもない話でした。
まあ、簡単なコードでポロポロするくらいならできるのですが、
ちょっと難しい曲を弾こうと思ったらうまくいかない。
それでも上勝の仲間と一緒にバンドをやっていました。
どうして上勝の友達の多くが音楽をやっていたのか?
それは、田舎には娯楽が少ないからだと思います。
暗くなって飲みに行く場所もほとんどない。
溜まり場になるようなコンビニもない。
だから一人でギターを弾いたり、仲間とバンドをやったりするんだと思います。
そんな仲間が集まって始めたのが“YAMABIKO MUSIC FESTIVAL”というライブイベントでした。最初は町内外の友達5組くらいのバンドでやったのですが、しばらくすると市内のバンドや弾き語りのミュージシャンも参加してくれるようになり、20組以上のアマチュアミュージシャンが集まるイベントになりました。
僕たちのバンド“日浦エンジニアリング” ステージの前はBar IRORIのある古民家
YouTube YAMABIKO MUSIC FESTIVAL
オリジナルソングを競い合う「オリジナルソングバトル」もやっていました。
山奥にある開拓団のロケーションを楽しんでもらいたいと思って、野外ステージも作りました。このイベントを始めたおかげで、市内にもたくさんの友達ができました。
そんなYAMABIKO MUSIC FESTIVALも昨年からコロナで開催ができていません。
そしてもう一つ、僕が参加していたバンドのお披露目の場が、毎年春に行われる敬老会。上勝の元気なお年寄りたちと盛り上がれる敬老会は、僕たちにとってビッグイベントでした。お年寄りに楽しんでもらおうと、演歌も頑張って練習しました。
傍示集落の敬老会 お年寄りのパワーはすごい
「渋い演歌やったらサックスやろ」
そんなことを思ってウクレレからサックスに変えたのです。
そんな敬老会も2年連続中止。
発表する機会がないので、バンドの練習も止まったままです。
でも、木曜日には山を降りて市内に向かいます。
「少しは上手くなったのかなぁ」
YAMABIKO MUSIC FESTIVALや敬老会で、
たくさんの人たちと音楽を楽しめる日を夢見て。
いつかまた演奏できる日を夢見て。